IT業界での文系
IT業界において文系は切ない。
技術者から「デプロイしますよ」とか「リファクタリングしますよ」
と言われても「お、おう」としか返せない。
「まぁお前らで仲良くせいよ」と、
”仁義なき戦い”の金子信雄的なことしか言えない。
なにしろ私は卒論テーマが能(世阿弥とか観阿弥の)だったくらい文系ど真ん中なので、なぜ自分はこの世界にいるのだろう?とハタと思うことがある。
IT業界にいる文系は総論マンである。
技術的な各論に入った途端、気配が消える。
うちの会社の技術者はみな優秀で、
発言もロジカルで筋が通っている。
が、しかし8割くらい何を言っているかわからない。
わからないのに「へぇ」と言う自分。
IT業界で文系が生きる場所は超上流工程か運用の世界しかない。
わけのわからない要求をまとめて技術者に馬鹿にされることがないよう気をつける必要もある。
ただ、システムやサービスの価値を創出することはできる。
自分がやっていることがひょっとして世の中のなにかを変える可能性がある、
と考えるとどうにかやる気が復活してくる。
夕べある人と今の仕事に就いたきっかけについて話をした。
私はミュージシャンになる夢を諦めて以降、どんな仕事でも一緒と思い、
よりによって自分の性質とはまったく合わない通信業界に入り今に至っている。
仕事に対して希望も期待も一切なかった。
それ自体は全く変わっていないが、自分に対しての期待は持っている。
厳密に言うと、自分で自分に期待しないのはあまりに切ないので期待しているといった感じである。
仕事と自分が合っていないと思っている人はたくさんいるのだろうけど、
「自分に合っている仕事」なんてそもそもないのではないだろうか。