おしぼり温め機の潔さ

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出張先、居酒屋のカウンターで一人飲んでいる。

熊本だから辛子蓮根を食べている。

食べたいからではなく、日本人特有の「せっかくだからの法則」が発動してしまったのである。

目の前を見ながら黙々と食べる、たまにハイボールを飲んだりもする。

目の前にはおしぼりを温めるためだけの機械がある。

その機械を眺めながら辛子蓮根を黙々食べる。そして、

「このおしぼり温める機械の正式名称ってなんだろう」

という疑問が湧いてきた。

スマホを取り出して調べてみる。

「タオルウォーマー」と言うらしい。笑

タオルなのか?と思ったら、「おしぼりウォーマー」とも言うらしい。

和洋混合か?と思ったら「おしぼり温め機」とも言うらしい。

見た目、白物家電なのに、家電量販店にはまず置いていない。

なぜなら、おしぼりを温めるだけだから。

ニール・ヤングのアルバム「ハーヴェスト」のように、

余計な思考が入る余地がない。

完全完結の潔さ。

製品の企画開発をする場合は汎用性を重視するか、

専門性を重視するかに分かれる。

前者で言えば、例えば大手があるシステムを企画開発をする。

そこにはたくさんの機能を持たせることによって、

汎用性を高めるということがよくある。

ただ、それを導入した事業所などは、10の機能のウチの2しか使っていない、ということもよくある。

2しか使ってないのにマニュアルが分厚い、なんてこともよくある。

自分自身もその世界に身を置いているので、時々嫌になることもある。

売りに行こうとすることは当然のことではあるのだけど、

相手を見ていない、価値を考えていない、という思考の塊みたいなシステムを見て、

「世知辛い世界にいるんだなー」と思ったりすることもある。

目の前にあるおしぼり温め機はそんな世界とは全く無縁だ。

おしぼりを温める以外の使い方をあれこれ考えるのだがほとんど出てこない。

茶碗蒸しの保温、と考えもしたが、茶碗蒸しを保温しておきたい状況ってあまりないように思える。

旅館の朝食に出てくる海苔を入れるケースも全く同じことが言える。

海苔を入れる以外に使いようがない。

また、海苔の場合、ケースから出すと更に海苔がパッケージされている。

それは二段階認証の始まりとされている。(ウソですけど)

とにかく海苔へのセキュリティーポリシーが高い。

むき出しの白米の立場を慮ってしまう。

個人的にこういったニッチな製品に魅力を感じてしまうのだが、

それは恐らくないものねだりで、

ITの小難しい世界に少しだけアレルギーがあるのかもしれない。

昨夜、警察密着番組で賽銭泥棒を捕まえるシーンがあった。

刑事が大挙して賽銭泥棒捕物を繰り広げる場面は、

ただただドロケーのバランスの悪さ、リソース過多、費用対効果への疑問などいろいろ思うところはあったが、

それよりも、賽銭泥棒の男が自作の棒を使って紙幣を取り出していたところに

目を惹かれてしまった。

 その棒(”クイックスティールバー”と名付けておこう)は模倣犯対策でぼかしが入れられていた。

言うまでもなく犯罪は許されることではないが、

この泥棒がこのツールを思いつくまでのストーリーは愉快だと思う。

(泥棒はダメですよ!)

でも、みんなルパン三世好きでしょ?

大列車強盗のロニー・ビッグスとか・・・(古すぎるか)

いつものように話は逸れたが、ニッチなものはストーリー性に富んでいるという個人的な感想であった。